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乗り移り動作の介護要領と適切な福祉用具

寝たきりと移乗動作

 生活の中で移乗は、肉体的で主要な介護負担

 寝たきりはいけない。 確かにベッドなどの寝具の上で一日中過ごすことは大きな問題です。
「寝具から離れられずに寝ざるをえない人」を,「寝かせたきり」などと表現しますが、
どうもこの表現の裏には, 起こす努力をしていないといった 努力不足を非難するような印象を受けますが、
家族は本当に努力をしていないのでしょうか?

 ■ 要因と課題

 家族の立場で考えると寝具から離れるための介護が大変であり、努力してもきりがなく、いつ終わるともわからない状況があり、家族にとっては肉体的にも精神的にも大きな負担となります。

 このような状況は,
"うまく寝具から離れるための手法が確立していなかったり"、"寝具から離れるための手法が とても家族の手に負えない"場合など、そしてそれが継続して行わなければならない状況にあるために、このような問題が引き起こされるのではないでしょうか?

 ■ 移乗とは

 移乗用具とは、移乗元と移乗先を 「橋渡しする技 或いは、知恵=移乗方法」 の存在であり、”移乗技術”はその橋渡しを「安全、且つ 力の無い高齢者でも楽に行える方法」といえます。
特に、ベッドから車いすへの移乗は、"寝かせたきり" を変化させる第一歩と考えることができ、この部分を安全に、安楽に、いつも変わらず、本人も介護者もお互いに満足できる形で実施できれば、その後の生活の拡大や質の向上に結びつき、続けることができる重要なポイントです。

 ベッド ⇔ 車いす の移動

 ■ 移乗の順序
 ベッドから移乗するためには、 まず
     @ 仰向けに寝た姿勢から寝返って側臥位に体位を変える、
     A ベッドから足をおろす、
     B 上体を起こす、
     C 端座位をとる。



トランスファーボード による移乗

しっかり車いすを、固定しておく

 もしこの段階で一つでも介助が必要なら、それは移乗動作を
 行う準備段階の起居動作の問題といえます。
 体位を容易に変える、いかに介助量を減らすか?を考える
 必要があります。 
トランスファーボードを利用して、体を
 滑らせる事もできます。
  例えば、ベッドに背上げ機構付きのものを選択するとか、
  起きあがりや姿勢支える手すりを設置するなど

 次に、立位移乗をする場合には、
     D 立つ(重心移動)、
     E 回転する(方向転換、ときに踏み変え)、
     F 座る、といった動作が必要になります。


 もし起立することに介助が必要なら、立ち上がりやすくするため、
 重心の移動を容易にする”高さ調節機構付きベッド”
 必要になるかもしれませんし、
 立位を保つための”手すり”や人による保持が必要でしょう。
 また、横移乗(左右への重心移動)による移乗方法がとれる
 なら、一動作で済ませることができます。
 このためには、ベッドと車椅子の高さを同一にするために
 ”高さ調節機構付きベッド”や横に滑りやすくするための
 ”
スライディングシート”の利用、”アームレスト”が脱着できる
 車いすを選ぶ必要がでてきます。



高さ調節機構付きベッド

(片方のア−ムレストを外している)

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  車いす ⇔ トイレ の移動

  ■ 移乗の順序
    車椅子を用いている場合に、ベッドからトイレへ行くことを
  考えてみましょう。
      @ ベッドから起きて(起居)、車いすに乗り移り(移乗) 
      A 車いすを操作してトイレに行く(移動) 
      B 便器へ乗り移り(移乗) 
      C 衣服を脱ぎ(衣服の着脱) 
      D 排泄する(目的動作) 
      E 後始末をして衣服を整え(目的動作)
      F 車いすへ乗り移り(移乗) 
      G 車椅子操作をして居室に戻る(移動) 
      H ベッドへ乗り移る(移乗)といった経過をたどります。 


 
生活の中での移乗動作を減らす為の福祉用具の利用
   ここで注意していただきたいのは、一回の移動の前後で移乗が2回以上必要だということ、排泄動作は少なく
   とも一日に6回(健常者平均値)は行くことになり、単純に計算しても一日の排泄だけで12×2回と家族の介護
   負担はどんどん積みあがります。
   つまり、移乗動作なしに移動動作は考えられず、その負担は相当なものとなります。しかし、何か目的を成し
       遂げようとしたときに、”
どのように目的地にたどり着くかといった移動要素が問題視される”、傾向が
     強く
移乗の要素を見落とした 《移乗負担の高い用具》が選ばれている というのも事実です。

   このもっとも負担の多い移乗の機会を減らすことができるなら、介助負担は大幅に減らす事
   ができます。たとえば、
        A. 便座が着いた
”シャワーチェアー” (次項にて説明)を用いれば、
           車いす⇔便器の移乗負担をなくす事ができます。
また、
        B. ベッドサイドに ”ポータブルトイレ” (トイレ編にて説明)をおけば、
           ベッド⇔ポータブルトイレへの移乗のみで済ませることができます。
     しかし、もし、
        C. ベッド上でおむつによる排泄を選ぶなら、
            すべての移乗と移動をなくすことができ、大幅に介助量を軽減できることになります。

     さて、これでいいのでしょうか?

   介助負担の軽減手段として、
ベッド上での排泄は、生活範囲の縮小を引き起こし、寝かせたきりを誘発
   してしまいます。生活範囲を拡大させつつ、介護負担を軽減させるには、移乗と移動の両方を考え、
   どのような手段を用いるかを検討することが重要です。   

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 ベッド ⇔ 車いす ⇔ シャワ−チェア ⇔ 浴槽 の移動

 ■ 生活の中での移乗と介護負担
    車椅子を用いている場合に、ベッドから浴室へゆくことを
  考えてみましょう。
      @ ベッドから起きて(起居) 
      A 
シャワーチェアーに乗り移り(移乗) 
      B 
シャワーチェアーを操作して浴室に行く(移動)
      C 衣服を脱ぎ(衣服の着脱) 
      D 
シャワーチェアーに座り浴室へ入り体を洗う
      (目的動作)
      E ”
バスリフト” を利用し入浴する(目的動作) 
      F 
シャワーチェアーで浴室を出て、体をふき衣服を
     着る(衣服の着脱)
      G 
シャワーチェアー操作をして居室に戻る(移動) 
      H ベッドへ乗り移る(移乗) 
  といった経過をたどります。 


シャワーチェアー


軽量のバスリフト

     

 移乗動作で使用される用具

  補助ベルト
    介助する人が腰に取り付けるベルトで、移乗者が握りやすいように握り手が水平方向と
    垂直方向に付いています。
  移乗ボ−ド (ドランスファ−ボ−ド)
    いわゆる「渡り板」のことですが、表面は滑りやすい材質になっています。移乗者を臥位や
    座位のままで移乗させる事ができます。
  移乗シ−ト スライディングシート)
    柔軟性のある筒状のシ−トで、筒の内側に滑りやすい特殊加工布をつけてあるため、
    平らに敷いた時、接する上下内布が互いに非常に滑りやすくなっているのが特徴です。
  回転盤
    座面に敷いて向きを変える、材質はすべてプラスチックのもの・金属とプラスチック製など
    があります。

 腰痛の問題

 これは、ホームヘルパーさんは勿論、主婦など介護する人の
 多くの方の悩みです。
 人の体は脊椎を支点に背中の筋肉と腹部の筋肉によって
 バランスをとっています。人はかがめば自分の上半身を
 支えるために背中の筋肉は収縮します。
 かがんで重いものを持ち上げようとしたときには腰に、
 自分の上半身の重み+荷物の重さがかかります。そして、
 荷物の重さは体から離れるにしたがい「てこの原理」で
 増加します。
 すなわち、体から離れれば離れるほどに背中の筋肉は短い
 距離で重いものを持ち上げねばならず、支点となる脊柱には 
 相当な重みが加わります。 機械化する事が大切です。 


重いからだの移動は、リフトを使用

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 移乗支援機器の選択とアフタ−ケア−のポイント

特に高齢や女性の介護者を考慮して、重労働の移乗介護を機械化する為、移乗用具の導入を考えると、
 
 ケア−マネジャが中心となり、人的な介護量を少なく設定し、早期より移乗補助用具、 
 簡易移乗用具を導入することが、必要です。
 例えば、立ち座りができる段階においてもその立ち座りが安定してでき るように「移乗バー」や「手すり」を設置
   し、その用具の限界がきて介護量が増加し始めると同じ程度の介護量で済ませることができるより介入量の
   大きい用具に交換します。
 このように用具には必ず限界がありその用具を使ってできる 「旬の時期」があります。
 用具導入のケア-マネジャは用具が最大に有効となる状況や環境の知識と用具の限界、及び限界のサインを
  知っておく必要があります。
  また、フォローアップとして用具の限界のサインがでていないか確認することも重要な事項といえます。      

 移乗技術の限界とあり方

 本人の能力を生かすことは大切ですが、ぎりぎりの能力で行う移乗や痛みを伴う移乗、介助者にとっても
  苦痛である移乗動作は、次のような大きな問題を抱えているといわざるを得ません。
 @ 転倒の危険がある。
 A いつも同じようにできるとは限らず、できないときは生活範囲を制限する。
 B 本人が移乗する事への意欲を半減させる。
 C 介助者の意欲も薄れさせる。或いは、不安になる。
 D 介助者の腰痛を引き起こす。

 このように、立つことを中心とした移乗は、少し体調が崩れたり、痛みがあったり、介護者の対象が悪かったり
  する とすぐさま「寝かせたきり」に移行してしまう、自由な生活をいつも確保できない、危うい手段といわざるを
  得ません。


 これからの移乗のあり方として次の6つの要素を考える
 必要があります。
 @ 身体機能の変化に左右されない方法
 A 複数の移乗方法の提案(たとえば、車いすと杖歩行の共存)
 B 目的(移乗場所)ごとに、移乗形態を変える
 C 日々の状況に合わせて、移乗形態を選択できる
 D 早期から簡便な移乗用具の導入による、介助負担の一定化
 E 福祉用具導入の抵抗感の削減
 F 変化に応じた福祉用具の、速やかな変更を目指して
    行うことが必要になります。



重いからだの移動は、リフトを使用


  介護者の体力・お住いの環境と高齢者の身体状況や希望をケアマネジャが良く把握し、
  希望一辺倒にならないよう、早期に適切なプランに反映することが大切です

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